2011年06月26日

ちゅうくん語り〜「Nine Blood」編

自己満足な覚書語り、またまた登場です。

もっと深く受け止められる感受性が欲しいと想う今日この頃・・・・。その場でアンケートも書けないし。
アンケートは千穐楽のときに提出してまいりました。

感想は「いいです、噛み砕いてからで。」と言ってくださった方がいて気持ちが楽になりました。
「人それぞれなんで」って。

ゆっくり考えて、自分の中の嘘のない想いをこれからも綴ることにします。それが私のやり方ですから。

でも感受性は欲しいです・・・・・。これは自分で磨かないとね。


では恒例のお断り。
この語りは私の個人的な感想であり、論評ではありません。ですので、お読みになる皆様とは全く違う感想を書いていることもあると思います。その点は「一個人の感想」ということでご容赦ください。
また、あくまでも自分の想いであるという気持ちから、この語り記事へのコメントは受け付けておりません。

以上のことをご了承いただける方のみ、先へお進みください。




ai-kata公演「Nine Blood」 
我々(誰?)の大好きなヴァンパイアものです。なぜこうも惹かれるものがあるのでしょうね、ヴァンパイアには。
タイトルの「Nine Blood」とは、ストーリー上「9種類の血液型」という意味合いだと思います。人間の血液型はA、B、O、ABのそれぞれ+と−の計8種類。しかし人間にはない全く別の血液型がある、それがV型…つまりヴァンパイアの血液。

この血液型の発想も面白いし、人間とヴァンパイアが共存して生きている世界(日本でしたけど)というのも面白いし、人間が「異系のもの」に対して抱いている心理を違和感なく織り込み、オープニングの一見コントかと思うようなコミカルなシーンが実は大事な伏線だったりと、よく練られている作品でした。
エンタメ性も高く、観ていて飽きないし、ハラハラしたりドキドキしたり、ちょっとホロッとしたり、でもとても温かい気持ちになれました。「ハートフル・ファンタジー・コメディー」というふれ込みに偽りなし!

キャストも魅力的な方ばかりで、このカンパニーでもっといろいろな作品を観てみたいと思いました。本当に硬軟自在、キャラも自在の方が何人もいらして。オープニングコント(違)と本編では全くタイプの違う役をあっさりとやってのけてる感じ。もちろんご本人はいろいろと苦労されたりもしたかもしれませんが、そんなのは一切感じられない。素晴らしいですね。

登場人物は人間とヴァンパイアに大別されますが、人間の名前は名字が全員山手線の駅名で、ヴァンパイアは「ヴァンパイア」「吸血鬼」にちなんだ名前。採掘場でのヘルメットも、人間は白、ヴァンパイアは黄色と分かれていました。見た目は人間と同じなので、たとえば事故があったときに人間とヴァンパイアを区別しやすいように…ってことですかね。差別ではなくて。輸血する血液も違うし、運び出すとき太陽光に当たっても大丈夫かとか。

この物語に出てくるヴァンパイアは永遠の命ではなく、平均寿命は140歳くらい、20代で成長はストップ、力は人間の3〜4倍。食べ物は普段は人間と同じ。ただし(ここからは一般の人間は知らない話)十六夜の晩にだけ血が必要。この十六夜の間に血を摂取しないと、体力や免疫力が落ちるんだそうです。でも何かを襲ったりするわけではなくて、期限切れの輸血用血液をもらってるそうです。だからパックに入ってるのをチューチューするだけ。ヴァンパイアさんたちはそれすらも気持ち悪いみたいで、まして「人間の生き血なんか気持ち悪くて吸えるわけがない」そうです。(ここまでが秘密の話)
それから銀製品と太陽光は絶対NG。命取り。ニンニクや十字架は平気みたいでした。トイレには行かない、食べたものは体内で全消費。人間との結婚も可能ではあるけれど、4分の1の確立でヴァンパイアの子が生まれるそうです。
この世界のヴァンパイアの生態には私もすごく興味がありました(笑)。


仲原くんが演じていたのは「渋谷」という人間の青年です。名字しかわからないけど、もしかしたら仲原くんの中では下の名前もあったかもね〜〜(笑)。ヴァンパイアの伴(ばん)くんとお笑いコンビ「微分積分」を組んでいる、若手芸人です。相方の伴くんは長生きなので、渋谷で相方は9人目。見た目はずっと若いままで芸人としても芽が出ないため、ずっと若手芸人やってます…。ちなみに伴くんの年齢は55歳だったかな。

芸人の収入だけでは食べていけないからバイトにやってきた二人。他にヒーローショーの悪役なんかもやってたみたいです。個性的な人だらけの現場に「ここネタの宝庫だな」と喜んでいたり。
野久保さん演じる武羅人(ぶらど)がチームのメンバーを紹介してくれる一連の場面は、何気なく観ていましたが実はすごく流れやテンポが重要だったんだなと、後々考えていて気がつきました。次々に人が出てくる、それを渋谷たちに紹介する=観客にもその人のことが伝わる。これを、流れを止めず的確に伝えるということを、スムーズに違和感なくやらなければならない。出演者の息が合わないと上手くいかない場面だったと思います。それをとてもスムーズに見事にこなしていたのは、やはりカンパニーの結束力、チームワークではないかと。

ミュージカルバージョンもチームワークが大事でしたね。これもきっとたくさん練習したんでしょう、皆さん生き生きと踊ってました。
仲原くんはたぶんこういうのお好きですよね(笑)。コミカルな動きや表情を楽しそうに生き生きとやっていたのが印象的。去年の後半から踊り方が変わり、体の軸のブレが少なくなり華やかになりました。なので安心して観ていられるようになりましたね。
千穐楽の公演ではこのミュージカルバージョンを踊り切ったキャストたちが凄くいい笑顔をしていました。カテコよりいい笑顔だったかも(笑)。「やりきった!!!!」という充実感いっぱいの眩しい笑顔に、「おいおいまだ先長いよ」と内心思いながらも、私も笑顔で見つめました。

そうやって楽しく観ていると、事態は一変。落盤事故が起こり、作業員全員が閉じ込められてしまいます。協力して出口を掘り進めていくのですが、ある日人間の1人が「食べ物がなくなったらヴァンパイアたちは人間の血を吸うんじゃないか」と言いだしたことから人間が一方的にヴァンパイアへの不信感を募らせていき、関係もギクシャクしていきます。
しまいには人間たちは「ヴァンパイアを殺して血を飲んで、自分たちもヴァンパイアとなって完全体になろう」と思い始めることに。渋谷も伴くんに突っ込むふりして銀のスプーンを押し当てようとしますが・・・。大事な相方にそんなことは出来るはずもなく。

そうこうしているうちに伴くんが大塚に殺され、大塚は伴くんの血を飲んで吸血鬼となる。
そうなんです、人間がヴァンパイアの血を飲んでも、「吸血鬼」というただの化け物になるだけ。

このときハッとしました。私は以前から「ヴァンパイア」と「吸血鬼」に微妙な違いを感じていて、それが何なのかすっきりしなかったのです。この二つの言葉が指し示しているものは同じはず。でも、単純に字面から受ける印象で意味が違っているように感じていた。それがここではっきりしました。理屈ではなく、「吸血鬼」と書かれるとただの化け物に感じるんだと。それは文字に意味のある漢字で表記されているからに他ならないのですが、まるで違うものを表している気がしてしまうものなんですね。

出口をふさいでいる岩が一向に崩れず、且つ大塚の状況を知らない他のメンバーたちは、これからのことを考えて途方にくれていました。
伴くんを殺そうとしてしまったことを悔やむ渋谷。ちょこんと体育座りをして「そんなこと出来なかったです」と涙を浮かべて、俯いて膝を抱える姿に胸を打たれました。この辺が仲原くんの真骨頂な場面ですが、実は初日の頃はそこまでの感情がうまく伝わってなかった…というと語弊があるかもしれませんが、伝わりにくかった。最初のうちは膝を抱えたりしてなかったし、翌週観たときはなんかもう景色が違ってる気がしたので、もしかしたら最初は違ったのかも。正座してて拳を握ってたような場面が記憶にあるので、もしかしたらここかなと思っているのですが・・・。これはご本人に確認してみないことにはわかりませんね。あ、DVDで確認できるかも。

このシーンの相方に対する想いは日に日に深くなっていくのを感じました。相方への想いが深まるからこそ、悔やむ想いも増していく。目に見えて日々深化したシーンでした。

そこから引き続いて、突然姿の見えなくなった相方を案じて「相方知りませんか?」とヴァンパイアたちに尋ねるシーン。声のトーンから本当に心配しているのが伝わります。元気な渋谷はどこ行っちゃったの?っていうくらいにしょんぼりして、でも優しい声で。渋谷という青年の繊細さと優しさが溢れる一言でした。

その後見つかるんです、大塚に殺された伴くんの遺体が。
伴くんを抱きかかえて何度も「おい!伴!」と叫ぶ渋谷。ツッコミで叩くと必ず叩き返してきた伴くんをバシバシ叩きますが、伴くんが叩き返してくることはもうありません………。そして、吸血鬼となった大塚が、血を求めて現れる。

「こいつは俺の相方を殺して血を飲んだんだ!!」

大塚に向かっていきますが、バケモノと化した大塚には力及ばず、捕らえられてしまいます。

余談ですが、1回観ると2回目からは、このとき首をガッツリ抱え込まれた渋谷くんが、もがいてるフリして片手でマントの中でゴソゴソと血糊の用意をしていることに気がつくわけです。なのでいつも、そのゴソゴソが止まると「お、準備OK!」と心の中で思いながら観ていました(笑)。

渋谷はここで大塚に血を吸われて殺されてしまいます。しばし死体となって転がって、大立ち回りの前に運び出されて(邪魔ですからね)、出番はここで終了です。
相方役の新宮さんが後日ご自身のブログにかかれていたのですが、死んだ順に楽屋に戻ってくるとそこで死者たちによる小芝居が始まると。それ、めっちゃ観たかったわ〜(笑)。

伴くんが殺されて嘆き悲しむ様子から大塚への怒り、この辺の表現は真骨頂その2ですね。怒りにまかせてすぐに感情を爆発させるのではなくて、時間的には短いものの沸々と湧き上がる本気の怒りが見えました。そしていっぱいになった怒りを大塚に向ける。この感情の「溜め」が私は好きです。
結果的には渋谷もやられてしまうけれど、伴くんは渋谷の想いを嬉しく思ったことでしょう。天国でもコンビ組んでるかな。

事故前の明るい芝居から、一転して事故後のシリアスな芝居。そして想いをぐっと込める芝居に放出する芝居。1つの作品の中で様々な表現を要求される役でしたが、それも渋谷が「人間」だからゆえかなと。
本当に普通の人間の青年なんです、渋谷は。相方想いの優しい青年。あのキャラの濃い登場人物たちの中で、もしかしたら一番人間らしかったのかもしれない。

あの中で「普通」でいることは、演じている仲原くんにとってはとても難しかったし、勇気のいることだったと思います。でも渋谷の「普通」な感覚は、観ている者には必要な存在でした。こんな世界がどこかにあるかもしれない…。渋谷の存在が、この物語によりリアリティを持たせることとなっていたように感じます。

演じている仲原くんは凄く消耗したことと思います。でもごく自然に場面を感じて、周囲を感じて、相手を感じて、渋谷がそこに生きていました。仲原くんは私にとって、「虚構を舞台上の真実にする」ことのできる人なんです。


本当に心温まるお話でした。あるとき、私は毎回落盤事故が起こるまでずっと笑顔で観ているということに気がつきました。自然と笑顔になっていたんです。途中で何人か死んでしまうし、ラストでは主人公の武羅人も太陽の光を浴びて消えてしまいますが、それでも嫌な印象は一切残らない、不思議な感覚。それはあのラストの微笑ましいラジオニュースのおかげでもあるしょうか(笑)。
ああ、そういえば、ニュース音声で「奥さんは1人です」っていうのは千穐楽でしか聞かなかったように思うんですが、あれは千穐楽記念のオマケ?
そりゃそうだ、子供はたくさんいても奥さんは1人だよな〜と、最後に泣き笑いしてしまいました(笑)。話が逸れた…。

その後のことを現実的に考えれば、あの後警察の捜査が入れば渋谷や伴くんや秋葉原の遺体を見つけることになって、何が起こったのかを調べることになるでしょう。でもあそこで起こったことが、人間とヴァンパイアの間に亀裂ではなく、より深い共存関係を築くための前向きな教訓となればいいなと願いつつ、今回の語りを終わります。


あ、最後に一言。
ai-kataの公演はNBしか観たことがありませんが、メンバーのブログなどで芝居造りに対する想いなどを拝見していると、仲原くんが居心地がいいとおっしゃるのがわかる気がします。相性がいいというか。
なのでぜひまたai-kataメンバーや今回の出演者と共演してください。きっとまた機会がありますよね。楽しみに待っています!
posted by 白ヤギ at 11:48| ちゅうくん語り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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